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文献詳細

雑誌文献

臨床検査33巻2号

1989年02月発行

文献概要

今月の主題 加齢と臨床検査 総説

老化と免疫

著者: 原英記1 岸本進1

所属機関: 1大阪大学医学部第三内科学教室

ページ範囲:P.142 - P.147

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 免疫機能は生体恒常性の維持にはたす役割は大きく,その減弱は悪性腫瘍の発生や感染症の発症につながる.また,老化に伴う免疫機能の変化のみならず,免疫機能の一次的な変化が生体の老化に影響を及ぼしているという考え方がある.
 胸腺の萎縮はT細胞の正常な分化を妨げ,老人に多い自己抗体の出現などの自己免疫現象をもたらしており,T細胞のIL−2産生やIL−2レセプターの発現が低下するなどの機序によりT細胞の分裂を繰り返す能力が減弱し,B細胞にも同様の分裂繰り返し能の障害が存在し,十分な免疫応答を行うためのクローン増幅が障害され特異的な免疫反応が低下している.一方,T細胞が産生するB細胞分化因子は老人で増加し,老人のB細胞は分化因子に対する感受性が高まっており,老人では非特異的免疫グロブリン産生が亢進している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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