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文献詳細

雑誌文献

臨床検査33巻2号

1989年02月発行

文献概要

今月の主題 加齢と臨床検査 加齢と検査値

血液生化学検査

著者: 岡部紘明1

所属機関: 1熊本大学医学部臨床検査医学教室

ページ範囲:P.155 - P.163

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 一般に健康に生活している老人を健康老人として取り扱っているが,実際には関節炎や,高血圧などを合併しているのが大部分で,完全に健康な老人は見当たらない.その集団で得られた値を参照値,参考値,または基準値としている.60歳代と80歳代以後とは同じ老人でも異なってくる.細胞分裂の停滞と細胞数の減少は血液中成分の変動を示すもので,さらに細胞数の減少は体構成成分の変化を示し,水分,酸塩基平衡に破綻をきたしやすく,検査結果は,加齢とともに大きく変動し,平均値や標準偏差は大きくなるものと,小さくなるものがある.検査値としては加齢により,変化しないもの,上昇または増加するもの,低下または減少するもの,ある時期に増加(または減少)し,後に減少(または増加)するものなどの型に分けられる.一般的に参考値は各年代の平均値で表される.老人の基準値は,その老人が病的かどうかの判定に用いるもので,平均値およびその偏差を直接個々に当てはめることは危険である.老人は生活環境や食習慣など長い間に種々の影響を受けてきているので,検査値のばらつきは特徴的でもある.総合的に各臓器での細胞数とその中で,代謝,異化作用を反映しているもので,それらの血液中への反映を,蛋白,脂質,糖,無機物などについて,老人での血液生化学検査値としてまとめてみた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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