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文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻7号

1990年07月発行

文献概要

TOPICS

新しい下痢原性大腸菌群

著者: 本田武司1

所属機関: 1大阪大学微生物病研究所

ページ範囲:P.843 - P.844

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 下痢を引き起こす大腸菌は一般の常在フローラを形成する大腸菌と一部異なる特性を有し,下痢原性大腸菌(あるいは広義の病原大腸菌)と総称される(表1).これらのうち,ETEC,EIEC,EHECに分類される大腸菌については,すでに病原因子が明らかにされている(表1).
 これに対し,EPECの存在はもっとも古くから知られ1955年にはEnteropathogenic E. coliと下痢原性大腸菌の中で一番早く名付けられた1)にもかかわらず,特定のO:K血清型に集積するということ以外は,病原因子の同定が遅れていた.1979年になってCraviotoらはEPECの約80%の菌株がHEp-2細胞(喉頭類上皮癌由来細胞)に付着することを報告2)し,その後の詳細な検討により,さらに"局所性"に付着するiocalized adherenceと"分散性"に付着するdiffuse adherenceの2型に大別されることが見いだされた3).前者の付着に関与する因子はEPEC adherence factor(EAF)と名付けられ,約60 MDa大のプラスミドに支配されている3).このEAFの本態としては94KDaの外膜蛋白4)や32 KDaの表層蛋白5)がいわれているが,まだ十分明らかになっていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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