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文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻9号

1990年09月発行

文献概要

TOPICS

カルシニューリン

著者: 松井秀樹1 江藤誠司1 畠瀬修1

所属機関: 1香川医科大学生理学講座第一生理学

ページ範囲:P.1100 - P.1101

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1.はじめに
 神経細胞の情報伝達機構においては各蛋白質キナーゼによるリン酸化反応が重要であることは広く認められている.しかし,蛋白質リン酸化反応が可逆的な情報伝達系として機能するためには,スウィッチオン(アップレギュレーション)反応によって各プロテイン・キナーゼが活性化され,標的蛋白質(酵素など)がリン酸化され,目的とする細胞反応を誘導し,一定の目的を達成する出力を得た後,スウィッチオフ(ダウンレギュレーション)反応としてリン酸化標的蛋白質(酵素など)がプロテインホスファターゼによって速やかに,かつ特異的に脱リン酸化され,次の情報に対応できる状態を作り出すことが不可欠となる1).したがってホスファターゼの作用はキナーゼと同様に重要であるが,その研究は進んでいない.
 近年,カルシウム・カルモデュリンによって制御されるプロテインホスファターゼが,脳内に多量に存在することが明らかにされた2~4).カルシニューリン(CaN)と呼ばれるこの酵素は,これまで知られているプロテインボスファターゼの中で,唯一セカンドメッセンジャーであるCa2+,カルモデュリンによる調節を受けておりかっ比較的高い基質特異性を有している.また,脳内のカルモデユリン結合蛋白質の80%程度を占め,カルモデュリンによる脳内情報伝達系のダウンレギュレーション反応の中心をなしていると考えられる5)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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