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慢性肝炎におけるシアリルルイスX
著者: 辻孝夫1 岡田良雄1
所属機関: 1岡山大学第一内科
ページ範囲:P.76 - P.77
文献購入ページに移動 細胞膜表面および分泌蛋白質の糖鎖表原型が細胞の悪性化に伴って変化することが知られている.その一部はいわゆる癌特異抗原としてすでに癌の臨床診断に応用されている.
私たちは肝癌における糖鎖抗原の異常の研究中,担癌患者の非癌肝硬変組織の肝細胞が糖鎖抗原シアリルルイスX(以下SLEX)を細胞膜表面に発現していること(Am. J. Pathol.,130, 384~392,1988)を観察した.後にこの糖鎖抗原は正常肝では発現されておらず慢性肝炎では肝の組織障害の程度に応じて発現が増強されること(J. Hepatl.,30, 1~7, 1990),肝癌ではほとんど発現されていないことを明らかにし細胞の糖鎖構造の変化が単純に胎児性抗原の再発現という従来の概念では捉えきれないことを示唆した.この観察はまた「細胞の悪性化を伴わない糖鎖抗原の変化とその生物学的意義」という新しい問題を提起していた.
私たちは肝癌における糖鎖抗原の異常の研究中,担癌患者の非癌肝硬変組織の肝細胞が糖鎖抗原シアリルルイスX(以下SLEX)を細胞膜表面に発現していること(Am. J. Pathol.,130, 384~392,1988)を観察した.後にこの糖鎖抗原は正常肝では発現されておらず慢性肝炎では肝の組織障害の程度に応じて発現が増強されること(J. Hepatl.,30, 1~7, 1990),肝癌ではほとんど発現されていないことを明らかにし細胞の糖鎖構造の変化が単純に胎児性抗原の再発現という従来の概念では捉えきれないことを示唆した.この観察はまた「細胞の悪性化を伴わない糖鎖抗原の変化とその生物学的意義」という新しい問題を提起していた.
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