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ヒト尿中有機酸の光学異性体
著者: 西尾久英1 松尾雅文1 中村肇1 斎木加代子2
所属機関: 1神戸大学小児科 2神戸女子薬科大学
ページ範囲:P.1210 - P.1211
文献購入ページに移動不斉炭素を有する物質は,光学異性体の一方の対掌体のみが特異的に生物活性を示し,また体内動態も異なっていることが多い.したがって,ある代謝産物の光学異性体を同定することはその代謝経路や体内動態の解明につながるということにもなろう.
ヒトの代謝に利用されているアミノ酸や有機酸は光学的にL―体が多く,その代謝産物もL―体が多いと考えられてきた.ところが,最近,ヒト尿中にL―体のみならず,D―体の有機酸が検出される例が報告され,注目されるようになった1).尿中有機酸の光学異性体を同定することにより,先天代謝異常症の原因をつきとめたり,未知の代謝経路を発見したり,また患者の病態生理を明らかにすることが期待されるからである.
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