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文献詳細

雑誌文献

臨床検査35巻13号

1991年12月発行

文献概要

TOPICS

PLP遺伝子とグリア細胞の分化

著者: 鹿川哲史1 池中一裕1 御子柴克彦1

所属機関: 1大阪大学蛋白質研究所

ページ範囲:P.1343 - P.1344

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 ミエリンプロテオリピド蛋白質(PLP)は,中枢神経系ミエリンの全蛋白質の1/3を占める疎水性の強い分子量30kDaの蛋白質で,ミエリン膜を貫通してミエリン膜の層構造の形成と維持に機能していると考えられてきた.近年,ラットPLP―cDNAがクローニングされたことを発端に急速に解析が進展し,PLP遺伝子の発現が中枢神経系の発生・分化にも重要な意義を持つことが示唆されたので,われわれの研究成果を中心に簡単に紹介したい.
 PLP遺伝子の突然変異によりヒト白質変性症の一種であるPelizaeus-Merzbachaer病(P-M)が生じることは有名であるが,最新の遺伝子操作技術polymerase chain reaction;PCR法の導入によりこれが実証され,現在までに5家系の変異遺伝子配列が報告された.また,この疾患のモデル動物も数多く報告されており,いずれもPLP遺伝子内の点突然変異に起因していた.これらには共通して,グリア細胞の一種でミエリン形成細胞であるオリゴデンドロサイト(OLG)自身が変性脱落するためにミエリン形成不全を示すこと,グリア細胞の分化異常がミエリン形成期以前にすでに開始されていることなどの特徴があり,PLP遺伝子産物がミエリンの構造蛋白質以外の機能を有することが予想された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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