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文献詳細

雑誌文献

臨床検査35巻13号

1991年12月発行

文献概要

TOPICS

無血清培養細胞

著者: 色田幹雄1

所属機関: 1放射線医学総合研究所

ページ範囲:P.1344 - P.1345

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 ヒトや動物の細胞を培養するとき,血清を含む培地を用いると,血清の品質の差によって結果が異なることがある.合成培地を使うことができれば,再現性が良いのみでなく,経済的でもあり,細胞産生物の分析や精製にも有利である.例えば,MEM培地とHam F-12培地の等量混液に,ビタミンや非必須アミノ酸やセレニウムや核酸前駆物質などを加えた"強化"培地を用いて,無血清培養を試みることができる.さらに,インスリンとトランスフェリンを追加することが多い.脂質を要求することも動物培養細胞の特徴の1つであり1),脂質添加に関して種々の工夫がなされている.現在は,いろいろなメーカーから汎用無血清培地が市販されているので,既製品をベースに使うとよい.
 無血清培地は,①初代培養細胞や株化培養細胞を,短期間だけ無血清条件下に置く,②細胞を無血清培地に順応させ,無血清培養細胞株を樹立する,という2つの使いかたがある.②が望ましいことは言うまでもない.しかし,細胞の特徴的な形質や機能を失わせずに無血清化できるとは限らない.血清濃度を段階的に減少させ,細胞を順応させるのであるが,手間もかかるし時間もかかる.無血清培養を上手に使った最近の例を紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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