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文献詳細

雑誌文献

臨床検査35巻4号

1991年04月発行

文献概要

TOPICS

HPVと子宮頸癌

著者: 今野良1 田勢享1 佐藤信二1 矢嶋聰1

所属機関: 1東北大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.395 - P.396

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 特定のヒトパピローマウイルス(human papillomavirus;HPV)が子宮頸癌組織中に高率に検出され1),発癌過程に重要な因子として働く可能性があるとして注目されている.
 HPVは約7900塩基対の2本鎖DNAをもつDNAウイルスで,現在その型は60種類以上に及ぶ.これらはDNAのホモロジーの違いによって同定された順番に従い,番号で呼ばれており,子宮頸癌やその関連病変で検出されているのは,HPV16,18,31,33,35,52b,58などである.よく研究されているHPV162)と183)は細胞を不死化させ,NIH3T3cellをtransformationさせることや,有名な子宮頸癌細胞株にintegrateされて存在すること(CaSki,SiHaはHPV16,HeLaはHPV18)がわかっている.また,HPVDNAの初期遺伝子領域(E6,E7 open readingframe)はSV40やadenovirus E1Aの一部とホモロジーが高く,癌抑制遺伝子p53およびRbと結合しているという最近の興味深い知見がある4,5).子宮頸癌とHPVの関係を解明するためには上述した基礎研究を裏づける臨床研究が必要であり,われわれの教室では形態学,電子顕微鏡,酵素抗体法,分子生物学的方法による検討を行ってきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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