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文献詳細

雑誌文献

臨床検査35巻6号

1991年06月発行

文献概要

今月の主題 臨床検査の新技術 話題

生体NMR・近赤外分光同時測定法

著者: 金城勝1 三宅可浩1

所属機関: 1国立循環器病センター研究所生化学部

ページ範囲:P.641 - P.643

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1.はじめに
 体内における物質の代謝動態を,生きたままの状態で,侵襲を加えることなく知るための測定技術の開発はきわめて活発であり,生体核磁気共鳴(NMR)法1)や生体近赤外(NIR)分光法2)も,その線に沿って開発されてきた.
 現在,臨床的に広く利用されている生体の形態計測とは異なり,これら2種の測定法は,生体内物質の同定を行い,また,代謝過程の分析を行うものである.例えば,脳虚血の場合,脳内循環系のヘモグロビンの状態は,生体NIR分光法で,また,脳組織のATPやクレアチンリン酸(PCr)などの動態は,31P―生体NMR法で知ることができる3).得られる情報は脳への酸素の供給状況および脳組織の代謝動態の変化であり,たがいに密接に関連した情報である.したがって,これら2つの測定を同時に行うことによって,より効果的な情報が期待できる.しかしながらNMR装置内の狭い測定空間で,しかも,強磁場のもとで分光測定を行うことは技術的に困難であり,これまであまり行われていない.最近,われわれは,この2つの測定法を組み合わせた生体NMR・近赤外分光同時測定系を作製したので,以下,その概要を述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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