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文献詳細

雑誌文献

臨床検査36巻10号

1992年10月発行

文献概要

TOPICS

ホルモン作用のスピルオーバー現象と病気

著者: 網野信行1 柏井卓1

所属機関: 1大阪大学臨床検査診断学

ページ範囲:P.1150 - P.1151

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 1つのホルモンが本来そのホルモンに対応する受容体以外の受容体にも作用し,2つ以上の生物学的な活性を示す現象を"specificity spillover"と言う1).このようなホルモンと受容体の交差反応とも言えるべき現象はホルモンの構造または受容体の構造が相互に類似している場合に起こりうる.例えば,成長ホルモン過剰分泌を示す末端肥大症において,血中プロラクチン濃度は正常であるがプロラクチン過剰分泌症状,すなわち乳汁分泌,無月経,不妊症などの症状を示すことがある.これは成長ホルモンがプロラクチン受容体にも作用しこのような現象を起こすものと考えられている.また,ある種の腫瘍が,IGF-IIを過剰分泌しそれがインスリンまたはIGF-I受容体にも作用し低血糖症状を起こすことがある.この場合インスリン産生腫瘍の場合に見られる高インスリン血症は認められない.
 糖蛋白ホルモンであるLH, FSH, TSHおよびhCGはαおよびβサブユニットからそれぞれできているが,いずれもαサブユニットは共通しており,したがって構造上これら4つのホルモンはかなりの類似性が認められる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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