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文献詳細

雑誌文献

臨床検査36巻10号

1992年10月発行

文献概要

TOPICS

ELISA法によるメイラード反応後期生成物の測定

著者: 七里元亮1 竹田晴生1 篠原守継1

所属機関: 1熊本大学代謝内科

ページ範囲:P.1152 - P.1153

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 糖尿病性慢性血管障害に伴う心血管障害,脳血管障害,腎不全などの増加は近年大きな社会問題となってきている.最近,この発症要因として,慢性的高血糖に伴うメイラード反応後期生成物(advanced glycation end products;AGE)の関与が注目されている.メイラード反応は,別名グリケーションとも呼ばれるが,各種蛋白質,ペプチド,アミノ酸などのアミノ基と還元糖が反応してシッフ塩基を形成後,アマドリ転移生成物に至る初期段階と,これがさらに長時間の反応を経て蛍光,褐色変化,分子架橋などを特色とするAGEに移行した後期段階の2段階に大別される.
 AGEの構造はいまだ不明のままであるが,最近AGE構造を認識する抗体が作られ,これを利用したenzyme-linked immunosorbent assays(ELISA)がいくつかの研究施設で行われるようになってきた.それに伴い,生体内にAGEが存在するか否かという問題についてもいくつかの研究施設からその報告がなされている(表1)1~6).本法はラジオ・アイソトープを用いることなく,高感度の測定が可能であるばかりでなく,そのほかにも種々の長所を有している.本法がAGEの検出にとって最も有力な手段となりえたのは,未知の抗原であっても,その特異的抗体を作製することによって測定系を確立しうる測定原理に基づいているためといえよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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