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文献詳細

雑誌文献

臨床検査36巻10号

1992年10月発行

文献概要

TOPICS

尿中アポリポ蛋白H

著者: 髙松和永1 橋本浩三1

所属機関: 1高知医科大学第二内科

ページ範囲:P.1155 - P.1156

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 健常者の腎臓では,血漿成分のうちアルブミン(Alb)(分子量67,000)など分子量60,000以上の高分子量蛋白は,糸球体基底膜を透過し難く,β2-ミクログロブリン(β2-MG,分子量11,800)など分子量40,000以下の低分子量蛋白は,糸球体基底膜を容易に通過し,近位尿細管以後で大部分再吸収される.ところが糖尿病で腎病変が存在すると糸球体の基底膜の透過性の充進や尿細管の再吸収能が障害され,Alb,β2-MGなどの尿中排泄が増加し,これらの尿中濃度が糖尿病性腎症の早期診断の指標として汎用されている.また,糸球体基底膜の透過性に関する因子として,上記のsize barrierのほかにcharge barrierがあり,血漿蛋臼の表面陰性荷電が弱いほど基底膜を透過しやすいことが知られている1)
 アポリポ蛋白H(アポH)は,β2-glycoprotein Iとも呼ばれ,分子量約50,0002)で,高分子量蛋白と低分子量蛋白の境界に属し,等電点(pI)5.4~6.2の糖蛋白3)で,Albより分子量が小さく表面陰性荷電が弱いことが知られている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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