文献詳細
文献概要
今月の主題 免疫不全症 話題
慢性疲労症候群と免疫異常
著者: 木谷照夫1
所属機関: 1大阪大学微生物病研究所内科
ページ範囲:P.1230 - P.1231
文献購入ページに移動 1.はじめに
近頃,マスメディアによく取り上げられている慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome;CFS)は一般の人々の間でも,医師の間でも最近のトピックスとなっている.その理由の1つは第2のエイズであるとか,米国には数百万人の患者がいるという一般誌の誤ったセンセーショナルな報道にあり,2には慢性疲労症候群という病名から受ける印象が過労死や働きすぎなど現在の社会の関心事と結びつき,両者あいまってこのように人々の注目を引くことになったものと思われる.しかし,このCFSについての情報や理解は正しいものではない1).
CFSの病因をウイルス感染と考える人が多いが,今までのところ確実な原因ウイルスは見いだされていない2),ウイルス説のほか,真菌感染,免疫異常,内分泌異常などを原因とする考えや,単に精神疾患とする説などさまざまな説が飛びかっているが,これまた今までのところいずれとも明らかでない.本稿では,簡略に病態を述べ,免疫学的異常を中心に述べてみたい.
近頃,マスメディアによく取り上げられている慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome;CFS)は一般の人々の間でも,医師の間でも最近のトピックスとなっている.その理由の1つは第2のエイズであるとか,米国には数百万人の患者がいるという一般誌の誤ったセンセーショナルな報道にあり,2には慢性疲労症候群という病名から受ける印象が過労死や働きすぎなど現在の社会の関心事と結びつき,両者あいまってこのように人々の注目を引くことになったものと思われる.しかし,このCFSについての情報や理解は正しいものではない1).
CFSの病因をウイルス感染と考える人が多いが,今までのところ確実な原因ウイルスは見いだされていない2),ウイルス説のほか,真菌感染,免疫異常,内分泌異常などを原因とする考えや,単に精神疾患とする説などさまざまな説が飛びかっているが,これまた今までのところいずれとも明らかでない.本稿では,簡略に病態を述べ,免疫学的異常を中心に述べてみたい.
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