文献詳細
文献概要
TOPICS
細胞内酵素と自己免疫疾患
著者: 網野信行1 中野卓1
所属機関: 1大阪大学臨床検査診断学・中央臨床検査部
ページ範囲:P.1259 - P.1260
文献購入ページに移動上記とは逆に,最近細胞内の一部の酵素が,対応臓器の自己免疫疾患診断のための主要自己抗原となることが注目されつつある.その代表的存在は自己免疫性甲状腺疾患における甲状腺ペルオキシダーゼである.従来,甲状腺ミクロゾーム抗原として,わが国で開発された赤血球凝集反応を用いてその抗体を測定し,橋本病,バセドウ病の診断に用いられていたものであるが1),甲状腺ミクロゾーム抗原そのものが甲状腺ペルオキシダーゼであることが判明した2).この甲状腺ペルオキシダーゼに対する自己抗体は驚くべきことに成人女性の約10%に認められ,細胞内酵素に対する自己抗体の存在が,いかに高頻度にあるかが明確にされた.
掲載誌情報