icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査36巻13号

1992年12月発行

文献概要

今月の主題 溶血性尿毒症症候群(HUS) 話題

ヘモグロビン尿と腎障害

著者: 黒田満彦1

所属機関: 1福井医科大学臨床検査医学教室

ページ範囲:P.1360 - P.1361

文献購入ページに移動
1.ヘモグロビン(Hb)尿
 溶血によりHbが赤血球から血中に放出されても,Hbは直ちに尿中に排泄されず,下記のような過程を経る.遊離のHbや鉄には腎その他の生体組織を傷害する危険性があるため,その防御のためとも理解できる生体機構が存在する.それらは1,2)①Hbは血清蛋白中のハプトグロビンやヘモペキシンと結合し,血清の結合能(約100mg/dl)以上になるまで,尿中にover flowしてこない.②また,Hbの分子量は約65kDaとほぼアルブミンの分子量に相当するため,正常な糸球体では濾過を受けにくい,などである.近縁のヘム蛋白であるミオグロビン(MgB)も,筋組織の傷害により血中に放出された後類似の処理を受けるが,相達する点もある.まずα2グロブリンと結合するが,その結合はかなりルーズであり,また結合能もHbの約50%(3~15mg/dl程度)と小さく,さらに分子量もHbの約1/4(約17kDa)と小さいため,MgBは尿中に排泄されやすい.Hbに比べMgBによる腎障害が起こりやすい要因の1つとも言える.
 Hbの排泄が30mg/dl以上に達すると,肉眼的にも認識できるようになる2).一般に,Hb尿や血尿は鮮紅色を呈するのに対し,MgB尿は褐色調とされているが,Hbや血尿も尿中で時間が経つと変化し,メトヘモグロビンなどの褐色調を呈することがあるので,色調による鑑別には限界がある1,2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?