文献詳細
文献概要
今月の主題 血管内皮細胞 話題
血管内皮と血管新生
著者: 小林美枝子1 三井洋司1
所属機関: 1通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所
ページ範囲:P.400 - P.403
文献購入ページに移動1.はじめに
内皮細胞は血管内腔を1層で被覆し,つねに血流と接し,血管系細胞の中でもっとも多彩な機能を持つ細胞である4).その機能の1つに血管新生(angiogenesis)がある.毛細血管は内皮細胞のみから成り,その周囲を周細胞が補強している.血管新生とは,内皮細胞が毛細血管を新しく造成する現象である.
angiogenesisは,動物の発生.成長に伴う血管網の発達,月経における子宮粘膜での周期的な血管網の発生・退縮,胎盤形成や組織の再生に伴う血管網の発達など生理的な現象だけでなく,傷害や炎症での毛細血管の増生,糖尿病患者の網膜での血管過増殖,固型腫瘍の成長を支える血管新生,さらにAIDS患者に高頻度に出現するカポジ肉腫や血管腫における毛細血管の過形成など病理的過程においてもみられる現象である.したがって血管新生の機構を解明すれば,それを人為的に制御することが可能となり,新たな治療薬や制癌剤の開発にもつながるものと考えられる.既に,このような指向の研究展開も始まっている.
内皮細胞は血管内腔を1層で被覆し,つねに血流と接し,血管系細胞の中でもっとも多彩な機能を持つ細胞である4).その機能の1つに血管新生(angiogenesis)がある.毛細血管は内皮細胞のみから成り,その周囲を周細胞が補強している.血管新生とは,内皮細胞が毛細血管を新しく造成する現象である.
angiogenesisは,動物の発生.成長に伴う血管網の発達,月経における子宮粘膜での周期的な血管網の発生・退縮,胎盤形成や組織の再生に伴う血管網の発達など生理的な現象だけでなく,傷害や炎症での毛細血管の増生,糖尿病患者の網膜での血管過増殖,固型腫瘍の成長を支える血管新生,さらにAIDS患者に高頻度に出現するカポジ肉腫や血管腫における毛細血管の過形成など病理的過程においてもみられる現象である.したがって血管新生の機構を解明すれば,それを人為的に制御することが可能となり,新たな治療薬や制癌剤の開発にもつながるものと考えられる.既に,このような指向の研究展開も始まっている.
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