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文献詳細

雑誌文献

臨床検査36巻4号

1992年04月発行

文献概要

TOPICS

アルコール性肝障害の診断にHCV検査

著者: 高田昭1

所属機関: 1金沢医科大学消化器内科

ページ範囲:P.418 - P.419

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 C型肝炎ウイルス(HCV)の検出法の開発につれて,飲酒家の肝障害患者にはHCVマーカーが高率に検出されることが注目されてきている.アルコール(Al)性肝障害患者でのHCV抗体(カイロン第一世代抗体)の陽性率については,肝癌患者では約80%,肝硬変患者では約50%と,かなり類似の成績が報告されているが,その他の病型についての頻度は報告者によってかなり異なっている.これは,Al性肝障害の診断基準が報告者によってかなり異なっており,さらに,多くの報告は大酒家の肝障害のすべてをAl性肝障害として取り扱っていることに起因している.
 大酒家の肝疾患患者には,Alが原因のもの,ウイルス性肝障害が原因の大酒家であるもの,両者が病因に関係しているものがある.さらに,HCVの健康保菌者(その存在はまだ確認されていないが)でのAlに起因する肝障害の可能性も考慮しなければならない.したがって,Al性肝障害とHCVとの関係を考える場合には,Al性肝障害についての正確な診断がまず必要になる.そのための診断基準試案が文部省総合研究(A)「アルコールと肝」研究班(高田班)から提案されているが,その要点は,Alが病因に関係している病態では禁酒によって障害されていた肝機能がほぼ正常値に回復することである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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