文献詳細
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今月の主題 皮膚 話題
皮膚疾患とサイトカイン
著者: 向田直史1
所属機関: 1金沢大学がん研究所薬理部
ページ範囲:P.744 - P.747
文献購入ページに移動 1.はじめに
1980年代に入り,主に遺伝子工学の進歩に伴い,細胞が産生する種々のペプチド性の生理活性物質の構造の解明と大量生産が次々と成功した.その結果,これらの活性物質のいくつかは,微量でも一見無関係と思われるような多彩な生理活性を示すこと,しかも通常はautocrineまたはparacrine的に働くことが判明した.このような生理活性物質を総称してサイトカインと呼ぶことが提唱され,現在ではこの名が広く用いられつつある1).
皮膚は,微生物やその他の異物の侵入に対して,単に物理的障害として働くのみならず,これらに免疫反応を起こし,サイトカインを含む種々の生理活性物質を産生・分泌する.と同時に,リンパ球・好中球などの白血球が局所に動員され,これらの細胞も異物の排除へと働く.このような機構は通常は生体防御に有利に働くが,ときには局所で過剰産生されたサイトカインや過剰に動員された白血球によって,種々の病態が生じることがある.
1980年代に入り,主に遺伝子工学の進歩に伴い,細胞が産生する種々のペプチド性の生理活性物質の構造の解明と大量生産が次々と成功した.その結果,これらの活性物質のいくつかは,微量でも一見無関係と思われるような多彩な生理活性を示すこと,しかも通常はautocrineまたはparacrine的に働くことが判明した.このような生理活性物質を総称してサイトカインと呼ぶことが提唱され,現在ではこの名が広く用いられつつある1).
皮膚は,微生物やその他の異物の侵入に対して,単に物理的障害として働くのみならず,これらに免疫反応を起こし,サイトカインを含む種々の生理活性物質を産生・分泌する.と同時に,リンパ球・好中球などの白血球が局所に動員され,これらの細胞も異物の排除へと働く.このような機構は通常は生体防御に有利に働くが,ときには局所で過剰産生されたサイトカインや過剰に動員された白血球によって,種々の病態が生じることがある.
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