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今月の主題 皮膚 話題
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群
著者: 町田勝彦1 桜井進2
所属機関: 1東京慈恵会医科大学臨床検査医学教室 2東京慈恵会医科大学医科学研究所遺伝子工学研究室
ページ範囲:P.752 - P.756
文献購入ページに移動1970年にMelishとGlasgow1)が,新生児剥脱性皮膚炎,水疱性膿痂疹,ブドウ球菌性猩紅熱の各疾患からファージタイプII群に属する黄色ブドウ球菌を分離し,その菌を生後4日以内の仔マウスの皮下または腹腔に接種することによって,患者に認められるような全身性の表皮剥脱が生じ,肉眼的にも組織学的にもヒトの病変と同じ皮膚変化を観察し,さらに仔マウスの病巣から同じファージタイプの黄色ブドウ球菌を回収してKochの3原則を確認した.このように上記疾患に共通した起病因子を有する特定の黄色ブドウ球菌による発症の可能性を指摘したことが,ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(staphylococcal scalded skinsyndrome;SSSS)の病態解析の端緒となっている.
その後多くの研究者によってMelishらの実験が追試確認され,病巣由来黄色ブドウ球菌の培養上清から新生仔マウスに表皮剥脱を起こす高分子蛋白質である表皮剥脱素(exfoliative toxin;ET)が分離精製された2,3).このETについて物理化学的性状の解析4),生物活性作用の追求,疫学的研究5),免疫学的研究6)などが進められつつあり,SSSSの病態解析はETを中心に行われていると言える.
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