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今月の主題 赤色尿 技術解説
ラテックス凝集反応による尿中微量ヘモグロビンの検出
著者: 伊藤喜久1
所属機関: 1自治医科大学臨床病理学教室
ページ範囲:P.969 - P.973
文献購入ページに移動尿中ヘモグロビン(Hb)の検出を目的にラテックス凝集反応法を新たに開発した.標準抗原,免疫原はヒトヘモグロビンAo(HbAo)を赤血球から分離精製し,家兎に免疫して特異抗体を得た後,すでに確立された方法によりラテックス粒子に感作し作製した.試験紙法に比べ測定感度は約120ng/mlと高感度で,しかも,アスコルビン酸による偽陰性,ミオグロビンによる偽陽性などの非特異的反応が避けられ,尿中Hbを特異的に検出が可能となった.臨床的応用では,種々の患者の尿沈渣で赤血球数が4個/毎視野以上ではおおむね試験紙法による潜血反応と同様な結果が得られ,一方,これ以下の赤血球数では,尿浸透圧が500mOsm/kg・H2O以下の低張状態においても検出され,患者の異常病態をとらえている可能性も示唆された.今後,試験紙法の補助検査として将来の臨床的応用の拡大も期待される.〔臨床検査36(9):969-973,1992〕
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