文献詳細
文献概要
今月の主題 赤色尿 病態解説
溶血性尿毒症症候群
著者: 五十嵐隆1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院分院小児科
ページ範囲:P.993 - P.997
文献購入ページに移動下痢に続発する溶血性尿毒症症候群(HUS)の主たる原因は,先進諸国では現在,ベロ毒素(VT)を産生する腸管出血性大腸菌(VTEC)感染である.ベロ毒素は腎や脳の血管内皮のレセプターと結合し蛋白合成を阻害して血管内皮障害を生じ,急性腎不全や急性脳症を引き起こす.HUSの起因菌となるVTECの血清型はわが国では大半がO 157:H 7で,一部O 26やO 111が占める.VTEC感染の診断は便培養によるVTECの証明が最も確かな方法であるが,血清中の抗VTEC抗体と抗VT抗体の上昇によっても推定することが可能である.〔臨床検査36(9):993-997,1992〕
掲載誌情報