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文献詳細

雑誌文献

臨床検査37巻10号

1993年10月発行

文献概要

今月の主題 HCV 話題

画像診断によって肝硬変と慢性肝炎は鑑別できるか

著者: 持田智1 藤原研司1

所属機関: 1東京大学医学部第一内科

ページ範囲:P.1127 - P.1131

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1.はじめに
 慢性肝炎および肝硬変は病理学的所見に基づいた疾患単位であり,それらの鑑別診断は肝生検標本の組織学的検索によるのが原則である.特に,C型肝炎ウイルスによる慢性肝疾患の場合は,病変の進展度が部位により異なることがあり1),正確な鑑別には腹腔鏡下肝生検が必要と考えられてきた.しかし,昨今の画像診断技術の進歩は,肝疾患の診断学体系を大きく変化させた.これは高性能な超音波検査装置の普及によるところが大きく,病理検索なしに慢性肝疾患の進展度をある程度推定可能にしている.
 そもそも慢性肝炎から肝硬変に至る一連の変化は,その成因を問わず連続したものである.したがって,両者を厳密に区別するのは,病理学的検査を行っても困難な場合があるのみならず,臨床的に無意味なことも多い.通常,慢性肝疾患の幅広いスペクトラムの中でどの程度の進展度にあるかが大まかに判定できれば,予後推定や治療方針決定には十分である.最新の超音波検査法を中心とした画像診断を駆使しても,慢性肝炎と肝硬変の厳密な鑑別は困難であるが,臨床の場で意義を持つ進展度の評価は十分可能であると言えよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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