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ビタミンAとストレス耐性
著者: 中野紀和男1
所属機関: 1名古屋大学生物分子応答研究センター
ページ範囲:P.1148 - P.1149
文献購入ページに移動 ビタミンAとストレス耐性に関し,これまでもっとも系統的に研究を進めてきたのは,A.アインシュタイン医科大外科学教室のE.Shifterらのグループである.Shifterらは手術創の治癒を悪化させる要因と,それらを防ぐビタミンAの効果を中心に,15年以上にわたって研究を進めている.外科手術,X線の照射,抗癌剤の投与などさまざまな処置,そして担癌状態そのものも手術創の回復を遅らせるという.すなわち,これらはホルマリン固定した手術創の強度を低下させ,創傷付近でのコラーゲンの合成を低下(皮下に埋め込んだスポンジへのヒドロキシプロリンの蓄積量を指標にしている)させる.しかしこのとき食事の中に高単位のビタミンA,あるいはベータカロチンを加えておくと,手術創の回復は明らかに促進される1~3).結果ははっきりしており,臨床での応用も期待される.
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