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文献概要
特集 ロボティクスと臨床検査 Ⅲ.情報処理
3.検査診断ロジック
著者: 高橋浩1 松尾収二1 山本慶和1
所属機関: 1天理よろづ相談所病院臨床病理部
ページ範囲:P.74 - P.82
文献購入ページに移動臨床検査システムを組み立てる場合,2つの視点から捉えることができる.1つは正確性,迅速性,微量化などいわゆる検査の基本的な機能の向上を目ざしたシステムであり,もう1つは測定値だけでなく,その意味するところの解説を添えて報告し,診療の場での医師の判断を支援する患者指向のシステムである.前者は臨床検査システムの必要条件であり,後者は十分条件と言うことができよう.
検査データを解析し病態情報として報告書上に表現する試みは,すでに40年以上も前に,当時山口大学臨床病理学教室を主宰していた柴田進教授らによって提唱された血液スペクトル法に始まる.これは組み合わせ検査により病態をグラフ表示し,そのパターンにより病名を診断する方法であった.以後,種々の手法を用いた病態解析が試みられるようになった.しかし,これらの実用化あるいは普及となると依然遅々とした歩みである.筆者らはこのことを意識しながら検査診断システムの考え方・あり方を述べるとともに,当院における実例を示し問題点やこれからの取り組み方について述べたい.
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