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文献詳細

雑誌文献

臨床検査37巻12号

1993年11月発行

文献概要

COFFEE BREAK

あいまいな人の世

著者: 屋形稔1

所属機関: 1東新潟病院

ページ範囲:P.1195 - P.1195

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 コンピュータ時代になりテクノストレスという病態がじわじわ増えていると最近の新聞が取り上げていた.検査室の周辺にまさしくこの症状を示すドクターや技師がいるのに思い当たる人も多いことと思われる.専門家に言わせるとコンピュータを相手にしていないと安定しない依存症をさすものである.命令に確実に答えるコンピュータの世界に没入してしまい,あいまいさがあり,さまざまに変化しうる人と人との関係を作れなくなるというから背筋が寒くなる.
 したがって,人との交わりの中に生まれる喜びや悲しみを体験しようという心がけが少しでも残っていれば本症の克服は見込みがある.現代に生きる人にこそ若いうちから読書や観劇などにも楽しみを見いだし,いろいろなものから人生を見るくせをつけることが必要でないかと思われる.わが愛読書である『鬼平犯科帳』などで知られる池波正太郎の時代小説は,息もつかせぬおもしろさの中に人と人との交わりや人生を考えさせるくだりが随所に見られる.例えば「霧に消えた影」という作品の中に剣の修業を通して師弟のあり方がきちんと書いてある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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