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文献詳細

雑誌文献

臨床検査37巻12号

1993年11月発行

文献概要

今月の主題 血液疾患をめぐる新しい検査 話題

アポプトーシス

著者: 吉田弥太郎1

所属機関: 1京都大学医学部第一内科講座

ページ範囲:P.1240 - P.1241

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1.はじめに
 細胞の死滅は無秩序な崩壊現象と考えられやすく,細胞増殖に比べると研究対象にはなりにくかった.細胞死には壊死とアポプトーシスとの2種類がある.古典的な細胞死すなわち壊死は,ミトコンドリアの膨化,細胞の膨化とcell densityの低下,細胞膜の破壊による細胞崩壊である.壊死に対立する第2の細胞死アポプトーシスは,プログラムされた生理的な細胞死である.例えば,老化・変性した細胞,損傷を受けた細胞などは,生体にとって不必要なものであり,排除される運命にある.このような生理的細胞死を,木の葉の落葉を意味する"apoptosis"ということばで表現する.綴りの2番目のpは発音しないと原著1)に記されているが,欧米人の間ではどちらも通用している.
 最近の生命科学用語として,アポプトーシスほど話題を独占しているものはなかろう.主要な海外雑誌がこぞってアポプトーシスの総説を載せているし,単行本2)もある.癌学会,血液学会などでもアポプトーシスのセッションが登場した.発生学,免疫,血液,内分泌,腫瘍,神経系など,実に広汎な領域でアポプトーシスが研究対象となっている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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