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文献詳細

雑誌文献

臨床検査37巻12号

1993年11月発行

文献概要

目でみる症例―検査結果から病態診断へ・11

クリオグロブリン血症

著者: 河野均也1

所属機関: 1日本大学臨床病理学講座

ページ範囲:P.1253 - P.1256

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検査結果の判定
1.クリオグロブリンであることの確認
 患者血清を一夜冷蔵保存したところ,図1右に示したように多量の白濁沈殿物が観察された.本例ではヘマトクリット用毛細管に血清を詰め,冷却した後にヘマトクリット用遠心機で遠心し,寒冷沈殿した蛋白の量を測定するクリオクリット法で検討したところ,6%に及ぶクリオグロブリンが証明された.多量のクリオグロブリンはM―蛋白血症に際して証明されることが多く,また,微量のものは全身性エリテマトーデス(SLE)をはじめとする自己免疫性疾患に際してしばしば証明され,血液中を流れる免疫複合体であるという見かたがなされている.
 クリオグロブリンと同様に寒冷に血漿を保存したとき白濁沈殿する蛋白にクリオフィブリノゲンがあり,両者を区別することは病態診断上非常にたいせつなことである.クリオグロブリンであることの確認には,寒冷による白濁沈殿が37℃に加温したときに再び溶解することを確認する必要がある.本例では図1左に示したように,37℃の加温により白濁沈殿物はきれいに再溶解し,クリオグロブリンであることが確認された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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