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文献詳細

雑誌文献

臨床検査37巻5号

1993年05月発行

文献概要

TOPICS

セレベリン

著者: 水野安二1 高橋利広2 大根田実2

所属機関: 1東北大学神経内科学 2東北大学第二内科学

ページ範囲:P.544 - P.545

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1.はじめに
 1984年,Slemmonらによってラット小脳から,分子量1,633の16個のアミノ酸残基から成るポリペプチド,セレベリン(cerebellin;CB)とセレベリンの2-16のアミノ酸配列に相当するdes-Ser1-セレベリンが単離された1)(表1).セレベリンはマウス2),ラット3),モルモット3),ブタ4)やヒト4,5)において小脳に高濃度存在することが報告されている.Yiangouら4)によれば,ヒト小脳に存在するセレベリンの分子型は主としてdes-Ser1-セレベリンであるが(95%以上),ブタやラット小脳ではセレベリンとdes-Ser1-セレベリンがほぼ同量存在することが判明した.この相異は不明だが,セレベリンのセリン―グリシン結合を分離する酵素量が種によって異なることが示唆されている.
 初め,セレベリンは小脳に特異的なペプチド1)と考えられたが,視床.視床下部・海馬・延髄・橋・嗅球などの脳の各部位および脊髄神経や消化器・心臓・腎臓などの末梢組織にも低濃度ながら広く認められている3,4).われわれのヒト剖検脳の検討では,セレベリン濃度(pmol/g湿重量)は小脳半球36,小脳虫部38と高く,小脳以外では視床下部7.5,延髄3.5と比較的濃度が高く,その他では,橋1.4,嗅球1.2,視床0.5であった(表2).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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