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簡便なマイクロウェーブ処理によるPCNA抗原性の賦活化
著者: 鈴木邦夫1 郡大裕1
所属機関: 1福井医科大学第二内科学教室
ページ範囲:P.786 - P.787
文献購入ページに移動I.はじめに
PCNA(proliferating cell nuclear antigen)は,DNAポリメラーゼδの補助蛋白としてDNA複製の際のリーディング鎖の合成に不可欠な物質である.近年,ホルマリン固定パラフィン包埋切片に使用可能な抗体が市販され,免疫組織化学的な増殖細胞マーカーとして注目を集めている.
PCNA染色法の問題点の1つとして,ホルマリン固定による抗原性のマスキングが挙げられる.すなわち,ホルマリン固定時間が2日前後を超えた材料では染色性が著しく低下してくる1).最近,ホルマリン固定パラフィン包埋組織に対してマイクロウェーブ照射を行うことにより,種々の免疫組織化学的染色においてその抗原性の回復がみられるとの報告2~4)がある.今回われわれは,ヒト消化管粘膜を対象としたPCNA染色において,家庭用電子レンジを用いた,より簡便なマイクロウェーブ処理による抗原性の賦活化を試み,その有用性を確認したので報告する.
PCNA(proliferating cell nuclear antigen)は,DNAポリメラーゼδの補助蛋白としてDNA複製の際のリーディング鎖の合成に不可欠な物質である.近年,ホルマリン固定パラフィン包埋切片に使用可能な抗体が市販され,免疫組織化学的な増殖細胞マーカーとして注目を集めている.
PCNA染色法の問題点の1つとして,ホルマリン固定による抗原性のマスキングが挙げられる.すなわち,ホルマリン固定時間が2日前後を超えた材料では染色性が著しく低下してくる1).最近,ホルマリン固定パラフィン包埋組織に対してマイクロウェーブ照射を行うことにより,種々の免疫組織化学的染色においてその抗原性の回復がみられるとの報告2~4)がある.今回われわれは,ヒト消化管粘膜を対象としたPCNA染色において,家庭用電子レンジを用いた,より簡便なマイクロウェーブ処理による抗原性の賦活化を試み,その有用性を確認したので報告する.
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