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文献概要
今月の主題 抗菌薬感受性試験 話題
感受性試験によるMRSAのスクリーニング
著者: 猪狩淳1
所属機関: 1順天堂大学医学部臨床病理学教室
ページ範囲:P.902 - P.903
文献購入ページに移動1.はじめに
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin resistant Streptococcus aureus;MRSA)は院内感染菌として注目され,β-ラクタム剤耐性のみならず,他の多くの薬剤とも交差耐性を示す.それゆえcompromised hostsに感染すると難治性となり,治療に難渋することはこれまで数多くの報告がある.わが国の多くの病院ではMRSAを中心とした院内感染予防対策に日夜努力が続けられており,その対策には,耐性院内感染菌を作らないこと,医療従事者および患者の教育,そのほかいくつかの項目が挙げられているが,臨床検査部で耐性院内感染菌が検出されたなら,いち早く関係部署へ報告することも,その対策としては重要な任務である.
ところでMRSAであるが,これは黄色ブドウ球菌の変異株である.すなわち,β-ラクタム系抗菌薬の標的である細胞壁合成にかかわる架橋酵素[この酵素はペニシリン結合蛋白(penicillin binding protein;PBP)とも称される]において,β-ラクタム剤に対する親和性が低下した新しい酵素が産生されたもので,MRSAの耐性因子となる新しい酵素はPBP2′として検出される.
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin resistant Streptococcus aureus;MRSA)は院内感染菌として注目され,β-ラクタム剤耐性のみならず,他の多くの薬剤とも交差耐性を示す.それゆえcompromised hostsに感染すると難治性となり,治療に難渋することはこれまで数多くの報告がある.わが国の多くの病院ではMRSAを中心とした院内感染予防対策に日夜努力が続けられており,その対策には,耐性院内感染菌を作らないこと,医療従事者および患者の教育,そのほかいくつかの項目が挙げられているが,臨床検査部で耐性院内感染菌が検出されたなら,いち早く関係部署へ報告することも,その対策としては重要な任務である.
ところでMRSAであるが,これは黄色ブドウ球菌の変異株である.すなわち,β-ラクタム系抗菌薬の標的である細胞壁合成にかかわる架橋酵素[この酵素はペニシリン結合蛋白(penicillin binding protein;PBP)とも称される]において,β-ラクタム剤に対する親和性が低下した新しい酵素が産生されたもので,MRSAの耐性因子となる新しい酵素はPBP2′として検出される.
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