icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査37巻9号

1993年09月発行

文献概要

TOPICS

ADH感受性水チャネルのクローニング

著者: 佐々木成1 丸茂文昭1

所属機関: 1東京医科歯科大学第二内科

ページ範囲:P.1033 - P.1035

文献購入ページに移動
1.ADH感受性水チャネルのクローニング
 哺乳類を含めて陸上にすむ動物は水を失い高浸透圧になる危険につねにさらされている.これを防ぐために,腎臓において水を再吸収し体液浸透圧を一定に保つ機構が働いている.つまり,尿濃縮機構である.尿濃縮機構の基本は,血液浸透圧の上昇に反応して下垂体後葉から抗利尿ホルモン(ADH)が分泌され,ADHが腎集合管に働いて尿細管内腔からの水再吸収を充進することである.この水再吸収は管腔膜に存在する水チャネルを介すると考えられている.水チャネルは概念として提唱されていたが,その実体は長く不明であった.
 何人かの研究者が蛋白精製の方法により水チャネルの同定に挑んでいたが,膜輸送体の蛋白量は少ないので,この方法では困難であった.昨年になってAgreらはCHIP28と名づけた蛋白が赤血球と腎近位尿細管の水チャネルであることを明らかにした1).しかしCHIP28はADH作用部位の集合管には認められなかった.そこでわれわれはADH感受性水チャネルのcDNAを得るために,CHIP28のアミノ酸配列を参考にしPCRクローニングを行った.その結果,WCH-CD (waterchannel of collecting duct)と名づけた1.4kbのcDNAクローンを得ることができた2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?