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ポリオウイルス感受性トランスジェニックマウス
著者: 野本明男1
所属機関: 1東京大学医科学研究所ウイルス研究部
ページ範囲:P.1035 - P.1036
文献購入ページに移動 ウイルスの複製には宿主細胞側分子群の助けが必要であり,単独では感染・増殖することはできない.ある生物があるウイルスに感受性を持つということは,このウイルスの複製にとって必要なすべての分子群が当該生物個体に備わっているということである.これら分子を一部でも欠いている場合には非感受性である.したがって,非感受性の生物でも欠けている分子をコードする遺伝子を感受性生物から補うことにより感受性を獲得できる可能性がある.
ポリオウイルスは小児マヒの病因である.3種類のセロタイプが存在し,いずれもヒトに経口感染する.消化管および局所リンパ節で増殖後,血中に入る.最終的には中枢神経系に侵入し,そこで主に運動神経細胞で増殖することにより細胞破壊を起こし,四肢に弛緩性マヒを生じさせる.このウイルスの種特異性は明確に決定されており,ヒトとサル以外の動物種には,ごく一部の例外を除き,感染は成立しない.この種特異性のために,ポリオウイルス病原性研究に不可欠な感染実験動物モデルはサルに限定され,また経口生ポリオワクチンの安全性試験もサルを使って行われてきた.サルを感染実験動物モデルとして使用する際の種々の困難を避けるには,ポリオウイルスに感染する他の動物種を作る必要があった.
ポリオウイルスは小児マヒの病因である.3種類のセロタイプが存在し,いずれもヒトに経口感染する.消化管および局所リンパ節で増殖後,血中に入る.最終的には中枢神経系に侵入し,そこで主に運動神経細胞で増殖することにより細胞破壊を起こし,四肢に弛緩性マヒを生じさせる.このウイルスの種特異性は明確に決定されており,ヒトとサル以外の動物種には,ごく一部の例外を除き,感染は成立しない.この種特異性のために,ポリオウイルス病原性研究に不可欠な感染実験動物モデルはサルに限定され,また経口生ポリオワクチンの安全性試験もサルを使って行われてきた.サルを感染実験動物モデルとして使用する際の種々の困難を避けるには,ポリオウイルスに感染する他の動物種を作る必要があった.
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