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アルコール性肝障害と遺伝子
著者: 田中文華1 小俣政男2 塚田悦男3
所属機関: 1千葉大学医学部第一内科 2東京大学医学部第二内科 3長汐病院
ページ範囲:P.101 - P.103
文献購入ページに移動経口摂取されたエチルアルコール含有飲料(以下アルコール)はアルコール脱水素酵素(ADH)により酸化され,有毒のアセトアルデヒドになる.この有毒物質はさらにアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により代謝されて酢酸となり,次いで,水と二酸化炭素にまで分解されて体外に排出される.なお,過剰のアルコール摂取時,またはADH, ALDHの機能低下時には,チトクロームP450(CYP)が誘導され,アルコール代謝のバイパス的役割を担っている.これらの酵素決定遺伝子のうち,ADH2, 31), ALDH2およびCYP IIE1には多型が存在し,個々の人々でアルコール代謝能力が遺伝的に異なる.すなわち,生まれながら不快感なくアルコールそのものの作用を享受できる者,逆に,アセトアルデヒドの不快な作用(顔面紅潮,嘔気,動悸,頭痛など)を強く受け2)飲酒を好まない者が自然と存在する.
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