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文献詳細

雑誌文献

臨床検査38巻11号

1994年10月発行

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トピックス

リコンビナントTSH

著者: 宮井潔1

所属機関: 1甲子園大学栄養学部

ページ範囲:P.65 - P.65

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 従来からヒト甲状腺刺激ホルモン(human thyroidstimulating hormone; hTSH)は,ヒト下垂体を原料として精製されていた(pit-hTSH).TSHの遺伝子構造は,1970年Fiddesらによりα鎖が,また,われわれのグループにより1985年にβ鎖が明らかにされ,次いで1987年にはα鎖とβ鎖のcDNAを組み込んだプラスミドをCHO細胞系にトランスフェクトすることにより,遺伝子組換えによるリコンビナントhTSH (rec-hTSH)を産生させることに成功した.その後Genzyme社がこれを商品化している.
 rec-hTSHの性質をpit-hTSHと比較した場合,大体は一致しているが,詳細に調べると次のようになる.すなわち糖鎖をみるとrec-hTSHのほうがシアル酸が多く,N―アセチルガラクトサミンを欠く.免疫学的性質は,抗原決定基(エピトープ)は一部に差異があり,外国の報告では活性が低いとしているが,わが国で通常用いられる市販のイムノアッセイキットで調べたわれわれの検討ではほぼ同一活性を示した.レセプターアッセイではrec-hTSHの結合能は低いという.生物学的活性は,外国の成績ではrec-hTSHのほうが低いというが,われわれの検討ではほぼ一致した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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