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文献詳細

雑誌文献

臨床検査38巻11号

1994年10月発行

文献概要

特集 ホルモンと生理活性物質 各論 5.副甲状腺ホルモン・骨代謝ホルモン系

3)カルシトニン

著者: 石井良章1

所属機関: 1杏林大学医学部整形外科

ページ範囲:P.112 - P.114

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生合成・分泌・機能
 1.構造,生合成
 カルシトニン(calcitonin)は32個のアミノ酸から成るペプチドホルモンである.1968年ブタのカルシトニンの構造がPattsらによって明らかにされて以来,現在までにウシ,ヒツジ,ヒト,ラット,サケ,ウナギなどで明らかになっている.いずれも32個のアミノ酸から成る単鎖のポリペプチドで,1番目と7番目のアミノ酸がS-S結合をし,C末端がプロリンアミドであるほか,1,3,4,5,6,7,9,28,32番目に位置するアミノ酸はすべての種において共通である.
 多くのホルモンの場合,生物活性を発現するのに,その全構造を必要とせず,活性中心部位のあることが知られている.しかしカルシトニンの生物活性の発現には32個すべてのアミノ酸が必要であり,さらにC末端のプロリンアミドも活性発現に重要であることが示されている.また,1番目と7番目のS-S結合が切断されるとその生物活性がほとんど消失することから,カルシトニンの生物活性発現にはカルシトニンの全構造が必要であると考えられている.カルシトニンの生合成,代謝についてはいまだ不明である.特に生合成に関する記載ははなはだ乏しいが,甲状腺C細胞からカルシトニンが分泌され,このC細胞は胎生器官である鰓後腺由来であるため,カルシトニンは鰓後腺由来の組織で生合成が行われている可能性があると考えられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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