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甲状腺ホルモン受容体異常症
著者: 中村浩淑1
所属機関: 1浜松医科大学第2内科
ページ範囲:P.145 - P.145
文献購入ページに移動 細胞内に存在する甲状腺ホルモン(T3)レセプター(TR)の異常により,ホルモン作用が障害された病態をいう.最近甲状腺ホルモン不応症患者から,TR遺伝子異常が同定され,本症の少なくとも大部分がレセプター病であることが確立した.病型として全身型と下垂体型があり,前者はT3に対し下垂体も含めた全身の組織が,また,後者は下垂体のみが選択的に障害されていると説明されているが,実際にはこの区分は必ずしも明確ではない.現在両者は本質的に同一疾患で,病因も類似のTR異常によることが明らかにされている.病態として,甲状腺ホルモンレベルが高いのに下垂体からのTSH分泌が抑制されていない不適切TSH分泌状態(SITSH)が重要である.全身型では多くの場合,代謝状態は正常であるが,頻脈や多動のみられることがある.下垂体型では,心悸亢進,頻脈,手指振戦,発汗,体重減少が前景に出る.重要な点は,組織間で不応性に差がみられることで,注意を要する.診断には基礎値だけでなく,薬理量のT3を段階的に漸増投与したときの組織の反応性を調べることが大切である.全身型不応症は世界で400例ほどの報告があり,多くが家族性発症である.遺伝形式は常染色体優性遺伝と考えられる.
これまでに全身型不応症数十症例からTR遺伝子異常が同定されている.
これまでに全身型不応症数十症例からTR遺伝子異常が同定されている.
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