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文献詳細

雑誌文献

臨床検査38巻11号

1994年10月発行

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トピックス

レニン阻害薬

著者: 日和田邦男1

所属機関: 1愛媛大学医学部第2内科

ページ範囲:P.187 - P.187

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 レニンはアンジオテンシノーゲンのN末端から数えて10番と11番のロイシルーバリン(ヒト)の結合を加水分解するエンドペプチダーゼで,基質特異性の非常に高い酵素である.レニンはレニン―アンギオテンシン系(以下R-A系)の出発酵素で,本系が確立する過程からすでにレニンを抑制しようとする試みはあった.しかし,いまだに理想的なレニン阻害薬は合成されていない.今回の第15回国際高血圧学会(1994年3月,オーストラリア)においても,R-A系の口頭発表20演題中レニン阻害薬に関する演題は2題,R-A系の遮断に関するポスター70演題中レニン阻害薬は1題もなかった.朝食ワークショップで"R-A系の抑制に関する最近の進歩"と題してレニン阻害薬が取り上げられたが,今までの総括であり,新しい化合物については触れられなかった.
 現在R-A系を遮断する手段として,レニン阻害薬のほかに,ACE阻害薬とアンジオテンシンII受容体アンタゴニストがある.ACE阻害薬はアンジオテンシンIからIIへの変換を阻害してR-A系の遮断を意図するものであるが,ACEがブラジキニンの不活性化酵素でもあることから,特異的なR-A系の遮断薬とは言えない.一方,アンジオテンシンIIアンタゴニストはR-A系のシャントとも言える組織chymaseにより産生されるアンジオテンシンIIをも遮断できる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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