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特集 ホルモンと生理活性物質 各論 10.消化管ホルモン系
5)モチリン
著者: 坂井貴文12 伊藤漸1
所属機関: 1群馬大学内分泌研究所比較内分泌部門 2現 埼玉大学理学部
ページ範囲:P.207 - P.209
文献購入ページに移動1.生合成
モチリン(motilin)はBrownらによりブタ十二指腸から単離された22残基のペプチドである.その後ヒト,イヌ,ウサギ,ネコでもアミノ酸配列が決定され,ヒトとブタでは完全に一致していることが知られている(図1).ウサギを除くとPhe1―Thr6,Glu9―Gln11,Glu15―Gln22の部位はよく保存されており,ウサギを加えてもN末端および中央部の合計9残基は上記の種において完全に一致している.モチリンの構造活性相関の研究は,①種々のモチリン断片の合成物,および,②モチリンを構成するアミノ酸をN末端から順次D体に置換したアナログを用いて活性を調べることにより行われている.それによると,モチリン受容体との結合部位は,Phe1とTyr7の間に存在し,Phe1,Val2,Ile4およびTyr7の側鎖が受容体との結合に亜要であり,Pro3,Phe5,Thr6が生物活性の安定化に寄与していると考えられている.
ヒトのモチリン遺伝子は5個のエクソンと4個のイントロンより成り,cDNAのクローニングから決定されたヒトのモチリン前駆体は25残基のシグナルペプチド,22残基のモチリンと68残基のモチリン関連ペプチドから構成されている.
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