icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査38巻11号

1994年10月発行

文献概要

特集 ホルモンと生理活性物質 各論 11.成長因子系

5) PDGF

著者: 松井利充1

所属機関: 1神戸大学医学部第3内科

ページ範囲:P.222 - P.224

文献購入ページに移動
生合成・分泌・機能
 1.生合成
 ヒト血小板から精製された血小板由来成長因子(platelet-derived growth factor; PDGF)はA鎖およびB鎖の2種類のポリペプチドから成る分子量約30Kのヘテロダイマーである.A鎖およびB鎖の遺伝子は,それぞれヒト第7染色体pter→q22および第22染色体長腕に位置し,それぞれ7つのエキソンから成る.B鎖の最小プロモーター領域は,TATAbox上流42bpに存在する.5′および3′端に長い非翻訳部位が存在し,転写調節に関与している.翻訳関始コドン上流140bpには,負の制御領域がみられ,この部分の欠損によりB鎖の細胞形質変換能は亢進する.A鎖のプロモーター領域も最近同定され,1.9kb,2.3kb,2.8kbの3種類の転写産物の転写開始点は同じである.B鎖mRNAは4.2kbの1種類のみが検出される.
 A鎖は分子量約16K,B鎖は分子量約14Kのポリペプチドで,AおよびB鎖のアミノ酸配列には約56%の相同性が認められ,A鎖とB鎖の前駆体ペプチドは,等間隔に保存されている8個のシステイン残基によりS-S結合し,前駆体二量体として細胞内で修飾を受け,成熟二量体糖蛋白として分泌される.したがって成熟二量体には,AA, AB, BBの3種類が天然体として存在する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?