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文献詳細

雑誌文献

臨床検査38巻11号

1994年10月発行

文献概要

トピックス

糖尿病の遺伝子治療

著者: 川上康1

所属機関: 1筑波大学臨床医学系内分泌代謝内科

ページ範囲:P.264 - P.264

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 体細胞遺伝子治療法は,生殖細胞以外の細胞に遺伝子を入れる方法で,現在,癌,AIDSなどの予後不良の疾患を対象としている.しかし,安全性が確立された際,ホルモン欠乏性疾患も,体細胞遺伝子治療のよい適応となる.ホルモン欠乏疾患の遺伝子治療では,容易に採取しうる細胞(例えば皮膚の細胞,血液の細胞)に欠乏ホルモンの遺伝子を入れて戻すことで,本来のホルモン産生細胞の肩代わりをさせることを目的としている.
 現在の治療は,血中ホルモン濃度を正常域に補正する補充療法により行われているが,経口投与が難しいため,連日注射投与を必要とする.生体では,血中ホルモン濃度は一定でなく,厳格に調整されている.このため,遺伝子治療によりホルモン補充療法を行う際,ホルモン産生の調節は重要な課題となる.われわれは,糖尿病のほかに,エリスロポエチン,成長ホルモンの遺伝子治療モデルの開発を試みている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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