特集 ホルモンと生理活性物質
各論 15.その他
5)エリスロポイエチン
著者:
遠藤一靖1
宍戸友明1
阿部圭志1
所属機関:
1東北大学医学部第2内科
ページ範囲:P.270 - P.272
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エリスロポイエチン(erythropoietin; EPO)は赤芽球系前駆細胞(CFU-E)に作用し,赤血球の産生を調節する糖蛋白である.EPOは生体内では微量であり,長い間にわたり生体内での機能・動態については不明であった.EPOの純化は1977年,Miyakeらが再生不良性貧血患者の尿から初めて行い,SDS電気泳動法で分子量が36,000でシアル酸を含む多糖類であることを明らかにした.EPO分子中には4残基のシステインが存在してSS結合を形成し,N―グルコシド型が計3本とO―グルコシド型が1本存在する.これらの糖鎖はEPO分子量の約40%である.その後,抗EPO抗体が作製され,この抗体を用いてラジオイムノァッセイ法2,3),エンザイムイムノァッセイ法4)で微量レベルのEPO濃度の測定が可能になっており,臨床における種々病態でのEPO動態が検討されるようになっている.
一方,Jacobsら,Linらが相次いで,しかも独立してヒトEPO遺伝子のクローニングに成功した.近年,遺伝子組換えヒトエリスロポエチン(rHuEPO)が大量に生産されるようになり,現在では腎不全患者の貧血に対する治療薬として広く臨床で応用されている.