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文献詳細

雑誌文献

臨床検査38巻12号

1994年11月発行

文献概要

トピックス

ミトコンドリア遺伝子異常とslowly progressive IDDMc

著者: 小林哲郎1

所属機関: 1虎の門病院内分泌代謝科

ページ範囲:P.1329 - P.1330

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 ミトコンドリアは細胞内器官のうちで呼吸鎖に関係する代謝(酸化的リン酸化によるATPの産生)の場としてきわめて重要な役割を果たしている.ミトコンドリア遺伝子は核の遺伝子と異なった固有の約16,000塩基から成る環状の二重鎖から成り立っており,ミトコンドリア酵素のうちチトクロームcオキシダーゼをはじめとする13種のサブユニット,また22個のtRNA,さらに2個のrRNAをコードしている.最近このミトコンドリア遺伝子の3,243番塩基の点変異(A→G)と糖尿病の発症が密接に関連していることが明らかになった1~3).その遺伝様式は,他のミトコンドリア遺伝子異常と同様に母系遺伝の様式をとる.
 いくつかの糖尿病の病型の中でも緩徐に進行するインスリン依存型糖尿病(slowly progressive IDDM)の症例に高頻度にこの変異を認めた(表1).一方,急性発症インスリン依存型糖尿病(IDDM),インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)での頻度は1~3%であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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