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心理学・精神医学と臨床検査
著者: 大原智子1 河合忠1
所属機関: 1自治医科大学臨床病理部
ページ範囲:P.477 - P.478
文献購入ページに移動 人の精神活動のメカニズムはわからないことが多く,精神病を医学の他の分野の対象と同じ方法論で扱うことは困難とされてきた.そのため精神病に関しては,現在でも臨床検査はほとんど役に立っていない.しかし,過去30年の神経科学や生物学的精神医学の著しい発展は,比較概念が主であった精神医学に量的概念を持ち込んだ.その結果,臨床検査が心理学や精神医学領域にも用いられる可能性が出てきた.
視床下部―下垂体―副腎皮質系(HPA系)や甲状腺疾患がしばしば精神症状を示すことは前世紀からすでによく知られていた.うつ病では血中コルチゾール濃度が健康対照者より高く,日内変動も不明瞭になる.さらに髄液中のコルチゾール,ACTH放出ホルモン(CRH)濃度が有意に増加しているという報告もあり,うつ病では視床下部より上位である海馬や扁桃核などの機能異常によるCRH-ACTH系の亢進が示唆されている1).
視床下部―下垂体―副腎皮質系(HPA系)や甲状腺疾患がしばしば精神症状を示すことは前世紀からすでによく知られていた.うつ病では血中コルチゾール濃度が健康対照者より高く,日内変動も不明瞭になる.さらに髄液中のコルチゾール,ACTH放出ホルモン(CRH)濃度が有意に増加しているという報告もあり,うつ病では視床下部より上位である海馬や扁桃核などの機能異常によるCRH-ACTH系の亢進が示唆されている1).
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