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文献詳細

雑誌文献

臨床検査38巻6号

1994年06月発行

文献概要

今月の主題 前立腺と睾丸 話題

血精液症と線溶亢進

著者: 徳江章彦1

所属機関: 1自治医科大学泌尿器科学教室

ページ範囲:P.694 - P.696

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1.はじめに
 血精液症とは精液中に血液の混入する状態をいう.出血を生ずる原因としてさまざまな疾患や病態が挙げられている(表1)1,2).しかし日常診療においては,原因疾患を見いだせず特発性と診断される場合が少なくない.出血源は全精路のいずれにも存在する可能性があるが,主として精嚢と前立腺であると考えられている2,3).近年,経直腸的超音波断層法および超音波ガイド下の精嚢穿刺術の開発4,5)により,また,最近ではMRIの応用6)により,本症では精嚢内出血の頻度が高いことが指摘されている.しかしこの場合にも炎症や腫瘍が必ずしも明確に証明されているわけではない.
 精漿における線溶能の研究7~9)に始まり,前立腺や精嚢など男性副性器における線溶系の研究が多数あり10~12),これら臓器組織では線溶活性の高さが報告されている.血精液症が特発性の場合はもとより,原因疾患をある程度推定できる場合にも,その発症を線溶の面から検討することは意義があろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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