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APC遺伝子とDCC遺伝子

著者: 土橋洋1

所属機関: 1大阪大学微生物病研究所発癌遺伝子部門

ページ範囲:P.709 - P.711

 1986年に単離された網膜芽細胞腫の原因遺伝子,RB (retioblastoma gene)をはじめ,現在までに多種の癌抑制遺伝子が同定されている.そのほとんどは数種類の悪性腫瘍において変異が認められており,かつ単一組織型の悪性腫瘍においても数種類の癌遺伝子,抑制遺伝子の変異が認められる.つまり癌関連遺伝子の変異と腫瘍の対応は多対多の関係と言える.その中で大腸癌に関与する遺伝子は詳細に検索されており,時間的な推移とともに起こる変化として捉えられている.本稿では,その中でAPC,DCC両遺伝子について説明する.
 病理組織標本においても大腸のポリープ状腺腫内に癌が存在する(cancer in adenoma)事が稀でないように,他の腸管臓器とは異なり大腸癌は腺腫を経た癌化が考えられている.その多段階発癌の過程における遺伝子の関与のモデルは,最近までの知見を総括すると図1のようになる1).その中で初期の段階の腺腫の発生に関わっているのがAPC(adenomtous polyposis coli)遺伝子である.

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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