私のくふう
両目を開けたままで焦点合わせが行える顕微鏡写真撮影のための遮蔽プレート
著者:
大谷静治13
池田真美1
榎本克彦2
佐藤昇志13
所属機関:
1札幌医科大学医学部中央組織学研究室
2札幌医科大学医学部第二病理学講座
3札幌医科大学医学部第一病理学講座
ページ範囲:P.1068 - P.1068
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病理組織標本の顕微鏡写真撮影は,病理検査や研究に携わる者にとって日常の業務といってもよいほど頻繁に行われる作業であり,顕微鏡の進歩とともに誰でも優れた写真を撮ることが可能となってきた.現在一般的に使用されている顕微鏡撮影装置のうち,被写体の焦点合わせを接眼レンズとは別の単眼の焦準鏡で行う方式の顕微鏡では,撮影者の多くは片目を閉じながら,もう片方の目で焦準鏡をのぞいて被写体を撮影している.しかし,片目だけで細かい焦点を合わせたり撮影を行っていると,目に対する負担が強くなり疲労のために焦点の微調節などがだんだん困難になる.この回避のため両目を開けて焦点を合わせることが最良と考えられるが,両目を開けながらでは焦準鏡をのぞいている目とは反対の目から周囲の物が見えてしまうため,顕微鏡の中の被写体像との周囲の像とが重ね合って見えてしまい,被写体の正確な焦点合わせがやはり困難となる.
医学写真の技術者は両目を開けて顕微鏡撮影を行う訓練を積むことによってこの弊害を解決しているが,写真撮影を業務としているわけではないわれわれにとって,このことはなかなか難しいのが現実である.