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今月の主題 糖鎖の異常 糖鎖異常と分析法
AFP糖鎖の構造
著者: 武田和久1
所属機関: 1岡山大学医学部公衆衛生学教室
ページ範囲:P.66 - P.70
文献購入ページに移動 AFPは1分子当たり1本のアスパラギン結合型の二本鎖複合型糖鎖を有し,出生時の臍帯血および肝炎,肝硬変ではコアのN―アセチルグルコサミン(GlcNAc)のフコシル化されていない,非バイセクト型のジシアロ二本鎖が主であるが,肝細胞癌ではコアGlcNAcがフコシル化された糖鎖を有するものないしマンノースα1→6側に露出したガラクトースを有するモノシアロAFPが高頻度に出現し,ヨークサック腫瘍ではコアのGlcNAcがフコシル化されたバイセクト型二本鎖糖鎖を有するものが大部分を占め,消化器癌では肝細胞癌とヨークサック腫瘍の中間型のものおよび未同定の糖鎖が出現する.本来は純化AFPの糖鎖を分離して,その構造の決定を行うが,糖特異性の明らかなレクチンを用いた1次元ないし2次元親和電気泳動によって,生体試料を純化することなくAFP糖鎖の構造を解析することが可能なことを示した.〔臨床検査39:66-70,1995〕
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