文献詳細
文献概要
今月の主題 糖鎖の異常 話題
イオンスプレー質量分析法
著者: 児島薫1
所属機関: 1(株)糖鎖工学研究所
ページ範囲:P.83 - P.85
文献購入ページに移動1.はじめに
未知物質の構造を解析するには,まず正確な分子量を知る必要がある.その分子量の測定において,質量分析法は有力な方法の1つである.質量分析計は,気相状態でイオン化した試料を,磁場あるいは電場内で分離しその質量を測定する装置である.したがって,分析時に試料をイオン化する必要がある.多くの生体関連物質,特に,糖は難揮発性であるため,これまでのイオン化法(EI, FAB法など)では,試料を化学修飾(誘導体化)して,揮発性を高めた状態で測定することが必要であった1).しかし,糖の誘導体化は困難であり,また,糖の誘導体の測定において,イオンが検出されない場合が多かった.
この問題点が種々のイオン化法の開発により克服され,そして試料を大気圧下でイオン化させるatmospheric pressure ionization (API法)の1つである,イオンスプレー法2)が開発された.これにより,試料を誘導体化することなく,分子量の測定が可能となった.現在,イオンスプレー質量分析計は,生体関連物質の分析において有力な分析手段となってきている.以下にイオンスプレー質量分析計の概略と,その測定例について述べる.
未知物質の構造を解析するには,まず正確な分子量を知る必要がある.その分子量の測定において,質量分析法は有力な方法の1つである.質量分析計は,気相状態でイオン化した試料を,磁場あるいは電場内で分離しその質量を測定する装置である.したがって,分析時に試料をイオン化する必要がある.多くの生体関連物質,特に,糖は難揮発性であるため,これまでのイオン化法(EI, FAB法など)では,試料を化学修飾(誘導体化)して,揮発性を高めた状態で測定することが必要であった1).しかし,糖の誘導体化は困難であり,また,糖の誘導体の測定において,イオンが検出されない場合が多かった.
この問題点が種々のイオン化法の開発により克服され,そして試料を大気圧下でイオン化させるatmospheric pressure ionization (API法)の1つである,イオンスプレー法2)が開発された.これにより,試料を誘導体化することなく,分子量の測定が可能となった.現在,イオンスプレー質量分析計は,生体関連物質の分析において有力な分析手段となってきている.以下にイオンスプレー質量分析計の概略と,その測定例について述べる.
掲載誌情報