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ペニシリンに応答する酵素スイッチ素子
著者: 末永智一1 内田勇1
所属機関: 1東北大学工学部分子化学工学科
ページ範囲:P.114 - P.115
文献購入ページに移動 生体内における情報変換は,きわめて複雑ではあるが巧妙に仕組まれた一連の化学反応によって駆動されている.それゆえマクロで見ると生体内ではアナログ的に情報処理がなされているように見える.しかし,ミクロで見ると,生命情報の源であるDNAの複製,読み込みや神経細胞での情報伝達のようなデジタル的(on-off的あるいは離散的)処理も,生命活動を維持するうえできわめて重要である.また,生体内の制御機構は原則的に互いに拮抗的な励起因子と抑制因子によって駆動されている.この2つの因子の強度(この2つの因子は実際には化合物であるので,強度は濃度に相当する)の大小により,励起あるいは抑制いずれかの機能(つまりデジタル出力)が発現する.
われわれは,このようなデジタル情報処理に基づくバイオ素子に注目し,研究を進めている.アナログ素子に比べ,デジタルバイオ素子の出力は離散的であるため情報量は少ないが,それだけに処理が正確であり,情報を伝達する際に外部からの物理的,化学的ノイズの影響も受けにくい.また,情報の高次処理も簡単である.特に,人工臓器,ドラッグデリバリーなど生命にかかわるシステムにバイオ素子を使用する場合には,なによりも動作の信頼性が要求され,デジタルバイオ素子の使用が不可欠であると考えている.
われわれは,このようなデジタル情報処理に基づくバイオ素子に注目し,研究を進めている.アナログ素子に比べ,デジタルバイオ素子の出力は離散的であるため情報量は少ないが,それだけに処理が正確であり,情報を伝達する際に外部からの物理的,化学的ノイズの影響も受けにくい.また,情報の高次処理も簡単である.特に,人工臓器,ドラッグデリバリーなど生命にかかわるシステムにバイオ素子を使用する場合には,なによりも動作の信頼性が要求され,デジタルバイオ素子の使用が不可欠であると考えている.
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